午後。
手紙。
僕はまめで雑な人間だ。
ひとりで思い通りにするのが好きなわがままな人間だ。
人をもてなすのは好きだが、人にもてなされるのは苦手だ。
家にあがりこんで勝手にものを食べたり、ものをもっていっていく人間に憧れる。(皮肉ではなく。)
キャリアウーマンと結婚して、家事をしたり畑をたがやしたりするのが夢だ。
野心が欠落している。「情けない男」と言われる。その通りなので返す言葉がない。
電話をかけない。用事は郵便に頼りたい。携帯電話の通話料は10円だ。
できれば会って話したい。目の前に人がいれば誤解も解きやすい。
通信手段はほとんど手紙。すぐ返事を書く。字を書くのが好きだから。内容はいつも大したことがない。ただカツカツと字を書いている時間が好きだから。
きれいな字でもない。小さな文房具屋で便箋を買い、公園で煙草を吸いながらちまちま書いて、なお小さい郵便局で投函する。日課。ルーティン。
よくしゃべる。
そして必ず後悔する。
人の書く字を見ているとどんな状態なのかわかる。
メールではよくわからない。
電話ではみな嘘をつく。
あなたが書いた字を読む。
少なくともあなたが僕を好きでないことはわかる。