1997年10月23日(木)
23歳

木曜の、夕方。秋晴れ。

部屋の模様替え。

ピアノは運ぶのに根性が要った。でも持ち上がった。
自分はなんて力強いのかと驚倒してみる。秋らしい夕暮れがある。

OSをアップデートしたら何もかも消えてしまった。
デジタルってだめなんじゃないかと思う。
手間ばかりかかって一向に進まない。

ま、自分もそうか。

1997年10月20日(月)
23歳

月曜の、夕方。晴れ。

今出川のアトリエで絵を描く。
今日は暑かったとテレビが言う。

暑いと絵を全部燃やしたくなって困るなあ
などとつぶやいて独りで笑い転げてみる。
アトリエにはいつも人がいない。

オスカル・メリカントのワルツ・レントを弾く。
ハンニカイネンについて調べる。

樋口一葉を読む。
女は嫌いだ。

1997年10月19日(日)
23歳

日曜の、夜。ふつう。

10円しかない。
火曜までこれでなんとかするしかない。
なんともならなかったことはないからきっとなんとかなるのだろう。

MacOS8が発売された。OSの意味がわからない。
パソコンを買って3か月経った。すぐ爆弾マークが出て止まる。
作品をスキャンして印刷したいだけなのに言うことを聞かない。

誰もMacを持っていないから教えてくれる人がいない。
ウィンドウズにしておけばよかった。
どっちでもいい。

多分ウィンドウズにしたところで僕は誰にも尋ねない。

1997年10月17日(金)
23歳

金曜の、早朝。まだ闇。

眠れない、眠れない。
IRCを切り上げていざ眠ろうとすると、
ふと眠ることに不安を感じていることに気づく。

照明を消すとよくわからない不安が喉元にせり上がってくる。
あわてて電灯のひもをひっぱる。
あわてているのでぷつんとひもが切れる。

吉原幸子の詩を読む。
何度も何度も読むと傷が開く。詩はそんな風に読む。
昨日の夜は楽しかった。

楽しかった、と言いたくない。
楽しいことがあると後は落ちていくばかり。
ああ、またこんなこと言っている。ばかだね。
壁を叩けばやっぱり痛いし何度もやれば血も滲む。

贖罪ということを考えている。

1997年10月16日(木)
23歳

木曜の、午後。またいい天気。

奥崎から電話。
我もなくはしゃぐ。奥崎と話すといつもどうもおかしい。
ああ奥崎のせいにしてしまった。
あーあ。

河原町に出かけ酒を飲む。
とりとめなくどうでもいい話を朝までしゃべり続ける。

もう少し面白い話しができたらな、
と考える時もあるが自分が楽しいとそれどころではない。
楽しかったからという理由でそんな自分を許していいものかどうか迷う。

黒田三郎の詩を読む。