1997年12月31日(水)
23歳

大晦日。

僕の中でピアノがなっている間は大丈夫だ、という気持ちがある。
どんなに下手でも鍵盤に向える間は例え壊れても戻ってこれる。
そう思いたい。

うつむく青年 谷川俊太郎

うつむいて / うつむくことで
君は私に問いかける / 私が何に命を賭けているかを
よれよれのレインコートと / ポケットからはみ出したカレーパンと
まっすぐ矢のような魂と / それしか持ってない者の烈しさで
それしか持とうとしない者の気軽さで

うつむいて / うつむくことで
君は自分を主張する / 君が何に命を賭けているかを
そる必要もないまばらな不精ひげと / 子どものように細く汚れた首すじと
鉛よりも重い現在と
そんな形に自分で自分を追詰めて/ そんな夢に自分で自分を組織して

うつむけば / うつむくことで
君は私に否という
否という君の言葉は聞こえないが / 否という君の存在は私に見える

うつむいて / うつむくことで
君は生へと一歩踏み出す
初夏の陽はけやきの老樹に射していて / 初夏の陽は君の頬にも射していて