1997年12月4日(木)
23歳

雪、午前2時。

雪がふる音を「しんしん」と最初に表現したのは誰なのだろう。
その感覚の1000分の1でいいから僕にもわけてくださいと、
その誰かに泣いてすがりたい。

書くことがない方が安心できるのだ、日記は。

疲れている。
「疲れているんだ。」と言う大人が嫌いだった。
僕は疲れていると言いたくなかっただけのただの疲れた子供だった。
おかしいな、こんな筈じゃなかったのに。

夜に雪が降って外に出る。雪が積もると夜も明るい。
張り詰めた冷気にしんしんと雪が降る。
しんしんなんて音は聞こえないのに、そう言葉にすると音が鳴っている気がする。
そういう時、人間でよかったと思う。

未だに心を凍らせることはできない。
指先からしみこむ寒さが頭の中にまで浸透する時間を心の中で数える。
このまま心の中まで凍りついてしまえばいい。
なんておよそ感傷的な言葉も、白々しく呼吸されてゆく。

心身ともにもっと不健康でありたい。