1997年11月2日(日)
23歳

愛する季節、時間帯、日暮れ

とろとろと溶けていきそうな秋、夕暮れ。
ふと気付くと窓の外は暗い。
心の中に不確かな高まりを感じながら、一日何箱めかのタバコを買いに出る。

吉原幸子は「おそろしさとは/ゐることかしら/ゐないことかしら」と書いた。
二十歳を過ぎてから「さびしい」「かなしい」がピンと来なくなりつつある。
それにとってかわったのはどうしようもない不在感。

立原道造「晩秋」より抜粋

あはれな 僕の魂よ
おそい秋の午后には 行くがいい
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おまへが 友を呼ばうと 拒まうと
おまへは 永久孤独に 餓ゑてゐるであらう
行くがいい けふの落日のときまで
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すくなかったいくつもの風景たちが
おまへの歩みを ささへるであらう
おまへは そして 自分を護りながら泣くであらう