1997年10月30日(木)
23歳

雨降って晴れて木曜、午後。

あの人から。

「青空」
清岡卓行

遥かに遠浅のざわめく海の底を
水平線へ向かって歩く自殺者が
しだいに静まる周囲の波の中で
はじめて味わう完璧な孤独のように。

追いつめられて真に戦おうとする弱者が
親しい仲間の誰をも信じられず
思いがけない別れの町角で ふと抱く
悲しく冷たいこころの泉のように。

どこまでも澄みきって遠ざかる青。
しかし そこから滲みでる優しさだけが
今日のぼくの夢のない痛みを支えるのだ。

ああ 酷たらしい愛と怒りのうた。
そのしたで繁茂する懐かしく不気味な都会よ。