師走、昼。
暇があると掃除をする。
僕は汚いが部屋は汚くない。
ものがない。ピアノと小さな照明があるだけだ。
本は外に出さない。本棚は人となりが透けるから。
なんとなく買い集めた香辛料が並んでいる。
香辛料から僕を類推することは誰にもできない。
こだわりがあるね、と言われるのは恥ずかしい。
こだわりのないおおらかな自分にこだわるのはみっともない。
奥崎はものを拾ってくる。遊びにいくと板きれや流木やゴミにでていた看板や、奇っ怪なものがところせましと置いてある。
「なにこれ」と聞くと「ゴミ。」という答えが返ってくる。
僕にはさっぱりわからないが、それがこだわりなのかもしれない。
僕の目にもそれらはどうみてもゴミだ。
僕はゴミは嫌いだ。
掃除機をかける。日課である。
掃除機をかけおわった後の部屋はコーヒーが美味しい。
ブランデーをいれてみたりする。紅茶も嬉しい。
優雅な生活?
心は常に不安で満ちているのに。